社長の給与はいくらに設定すべきか

経営者は自身の役員報酬の金額を決定するときには、何を考えながら決めないといけないのでしょうか。現在の法人税法では役員の給料は特別な事情がなければ決算月から3ヶ月以内に月額報酬を決めなければならず、次の決算(厳密には次年度の株主総会)まで変更する事はできません。

変更してもいいのですが、変更した分の差額は税金の計算上では経費にする事はできず、法人税がかかってしまうことになりますので、通常は年度の初めに決めた役員報酬額を変更する事はしないというのが原則です。

会社にいくらの利益を残したいのか

役員報酬の金額を決めるときに、まず考えなければならない点が、会社の決算書上いくらの利益を出したいのかということです。

会社の決算書は、銀行などの様々なステークホルダーが目にする機会があります。その決算書に表示されている利益の額が、会社が一年間かけて積み上げてきた実績になりますし、創業当初からの利益の累積も見ることができます。

役員報酬は会社の経理上は費用になるため、出ている利益を目一杯まで経営者がとってしまうと、会社には1円も利益が出ていないような決算書となります。銀行や従業員、評価会社の印象を気にせずに経営ができる状況であれば、会社が生み出した利益の全てを個人でとってしまうということも間違ってはいないのでしょうが、世の中はそんなに単純なものでもありません。

やはり、経営者が報酬を取りすぎているといった印象は銀行の融資判断にも影響しますし、従業員から見たときの印象も良くありません。

会社を安定的に継続させていくためにも、不必要な額を個人に回してしまわないように意識を向けるといったことも必要になってくることだと思います。

会社と個人のどちらの方が税金が安いか

世の中の大半の中小企業は社長と株主は同一人物です。となると、会社で払う法人税も、個人の給料から払う所得税や住民税も、どれも自分の税金であると考えるようになるのが自然です。

税金の種類は違っても、全て自分が払っているという感覚であるならば、法人税として税金を払うか、所得税・住民税として税金を払うか、どちらの方が安くなるのかで判断するのも一つの方法です。

法人税は利益に対してだいたい30%前後の税金がかかります。それに対して、個人の税金は住民税は10%で、所得税は年収金額の段階に応じて、かかる税率が変わります。一番少ない年収の人は5%の税率となり、年収が上がっていく事で、10%、20%、23%・・・と、最高で45%まで上昇します。

年収の金額にダイレクトにそれらの税率をかけて納税額を計算するのではなく、給与所得控除など税金の計算上でいろいろと控除できる仕組みではあるものの、所得税と住民税を合わせると最高で45%+10%の55%が税金としてかかります。

その55%を法人税の30%と比較すると、納税額の差は明らかです。

このような状況が起こってくると、個人の役員報酬は必要以上に高くせず、法人に利益を残して法人税として納税した方が、会社と個人のトータルでお金を残せているということになります。

社会保険料も考慮した判断を

役員報酬をとるときに、もう一つ考えなければいけないポイントがあります。

それは社会保険料の負担です。各団体の組合での保険は、それぞれの団体が決めたルールに従って保険料が決定されますが、中小企業の多くが加入している政府管掌の社会保険は給与の月額金額に応じて徴収される金額が変わります。実際に徴収される社会保険の金額はだいたい報酬金額の26%ぐらいです。その26%のうち半分は個人の給与から天引きし、残り半分は会社負担となります。会社負担分はもちろん経費になりますが、不容易に高い役員報酬額を設定してしまえば、それに連動して社会保険料の負担も増えるため資金繰りに関して注意が必要です。

また、社会保険料は厚生年金と健康保険の二つで構成されていますが、それぞれに上限が設定されています。

厚生年金は月額報酬の額のだいたい63万5千円が上限で、それ以上高い報酬をとっても金額は連動して上がっていきません。また、健康保険の方の上限は月額報酬が135万5千円となっています。

法人と個人の両方でお金を上手に残そうと考える場合には、今回説明した法人税、所得税、住民税、そして社会保険料の負担感をしっかりと試算して全体最適を考慮した決定をしていただければと思います。

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